雇用者の監視がコロナ渦中で増加したと7分の1の従業員が述べる ~Voice!for HRM Vol.24 ~

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英国でもっとも有名な HRM サイトから興味深い記事をご紹介します。

https://www.peoplemanagement.co.uk/news/articles/one-in-seven-workers-say-employer-monitoring-has-increased-during-covid

2020年11月30日 Maggie Baska

近年の研究によれば、パンデミックの開始以来、本格的な監視が始動したと専門家は警告し、4分の1の従業員がコミュニケーションチェックを受けていた。

新たな研究によれば7分の1以上 (15%)の従業員が雇用者による監視が3月のパンデミック開始と共に増加したと報告している。

英国全土に及ぶTUCが委託した従業員3000人を対象とした調査の一部では、4分の1以上 (27%)が職場のコミュニケーションチェックを受け、13%がデスクトップ監視を経験したと報告されている。また8%はSNSの監視を受けたと報告している。

また研究によれば、従業員の出退勤 (27%)また休憩時間 (13%)の評価のためにテクノロジーを用いていたことが明らかとなった。

ある回答者は、職場がいかに作業時間を記録し、1時間あたりのキーボードストローク数をカウントし、ソーシャルメディアの使用状況を記録し、ウェブカメラを通して10分ごとに写真版タイムカードを撮影するといった職場監視用ソフトウェアを駆使しているかについて説明した。

非正規従業員は監視されたと報告する傾向が遥かに高く、33%が職場での活動に関して常に監視されていると報告している。同様の報告をした正規社員はわずか5分の1であった。

TUC書記長 Frances O’Gradyは雇用者の多くがリモートワークの増加という現実に立ち向かっており、パンデミックとともに従業員監視テックが始動したと述べる。

同氏は、多くの企業がAIに多額の投資を行い、従業員の監視そしてより厳しい目標設定を行い、誰を解雇するかという意思決定を自動化させていると述べる。

「従業員はAIの使用に関して適切に説明を受け、懲罰的な働き方から守られるべきである」とO’Grady氏は強調する。

「テクノロジーは決して人々の尊厳を奪うためでなく、仕事の生活をより良いものにするために使われるべきである」。

従業員の5分の1以上 (22%) が欠勤管理のためにAIそしてテクノロジーが使用されたと述べ、14%が仕事の割り当て、14%がシフト管理そして14%が研修のニーズと割り当てに用いられたと報告している。

わずか6%が懲戒プロセスの始動のための通知や意思決定にAIやテクノロジーが用いられたと回答し、能力プロセスの始動は5%そして契約終了、解雇に関しては3%以下であった。

しかしながら、職場で新しい形のテクノロジーが導入される際に説明を受けたのは3分の1 (31%) 以下であり、わずか29%の従業員が新しい職場監視システム導入に際して説明を受けたと報告している。

CIPDシニアリサーチアドバイザーHayfa Mohdzaini氏は個々人の生産性測定のために監視ソフトウェアを導入する前に「2度考えよ」と雇用者に諫言する。

同氏は行き過ぎた職場監視が信頼感を台無しにし、士気にネガティブな影響を与え、ストレスや不安の原因となることを明らかにしたCIPDによる研究(previous CIPD research)について示唆する。

「結果として、過度な監視がパフォーマンスを妨げる可能性がある」とMohdzaini氏は述べる。

「雇用者はラインマネージャーのトレーニングや従業員サポートに投資をするほうがよっぽど良い結果が得られるかもしれない」。

場合によっては (たいていはセキュリティ上の問題が重要な関心事であるものの)、雇用者は別のやり方で従業員を監視する正当な理由があるかもしれない。しかし、雇用者は従業員がどのように監視され、その内容が業務に関連しており、必要なものであることがわかるように明白な政策を打ち出すべきであるとMohdzaini氏は強調する。

TUCの報告書によれば、従業員のわずか28%が労働者に関する意思決定の際にテクノロジーを使用することに同意しており、60%は意思決定の際にテクノロジーの使用が慎重に統制されない限り職場での不当な扱いの助長につながると懸念を示していたことがわかった。

過半数以上 (56%)が職場監視の際のテクノロジー使用は労使関係にダメージを与えると述べた。

Irwin MitchellのシニアアソシエイトPadma Tadは職場監視にAIやテクノロジーを用いることは確かに迅速かつ客観的にパフォーマンスを維持・確認できると述べる。しかし、同氏はAIの調査結果を適切に管理し職場慣行を常にバックアップするように警告している。

「雇用主として私が懸念するのは、データの無法な客観性と収集したデータのみを基にした意思決定を行った場合、差別を訴える主張が増える点である」とTadi氏は述べる。

「個人として守られるべき性質を含む個々の事実や状況を適切に考慮していない」。

また同氏はこのようなテクノロジーの使用はGDPR (EU一般データ保護規則) 規制やコンプラ違反にあたる可能性があると警告する。

Tadi氏は「個人的・私生活の間の曖昧な境界線」そして「データの収集・保持方法」に関する管理についてデータ保護の観点で具体的な文言があると述べている。

(D.S)