Voice!for HRM Vol.34 ~慶應義塾大学井上教授が語るコロナ禍での「はたらく×コミュニケーション」とは~

弊社は昨年より慶應義塾大学文学部教授、慶應義塾中等部部長を務める井上逸兵氏を顧問に迎え、「コミュニケーション診断」のリリースを皮切りに、企業様のコミュニケーションや人事課題の解決のご支援をさせて頂いております。井上逸兵教授はコミュニケーション学の第一人者としてもご活躍されており、今回はリモートワークや働き方改革の推進とともに問われる「企業組織内のコミュニケーション」に関して、ご寄稿頂きました。

パンデミックに端を発するリモートワークの普及は世界に後れを取る我が国の働き方改革に風穴を空ける契機となりました。今や大学の講義やゼミ活動もオンラインが活用され、「リモートワーク」は労働市場にとどまらず様々な文脈で応用されてきました。

「リモートワーク」は場所を問わずどこでも働ける便利さとは裏腹に、ラポール (信頼)の形成が難しいと言われております。つまり、コミュニケーションを円滑に行うことが難しいということです。コミュニケーションが仕事を行う上で非常に重要な行為であることは言うまでもありません。多くの企業が学生/候補者に求めるスキルでも「コミュニケーション能力」は必ず上位にランクインしており、コミュニケーションとは企業にとってもクリティカルな行為であり能力でもあることが伺えます。

ではコミュニケーションとは一体どんなものなのでしょうか。一般的な理解として、「社交性」「仲良くなる」などと想起されることが多く、ラポールの形成がコア概念としてあります。つまり相手との心的距離を近づけることを意味します。確かに、サークル活動やコミュニティ内では、Likeminded (気の合う仲間)を探すことそれ自体が目的であり、その目的を達成するための手段としてコミュニケーションが重宝されるでしょう。

しかし、仕事上のコンテキストにおいて、主たる目的は業務の遂行であり、この目的を戦略的かつ円滑に果たすためにコミュニケーションが求められます。つまり仕事上のコミュニケーションとはあくまでも業務遂行のための意思、情報伝達手段に他ならないのです。

概して日本人は欧米人に比べ、帰属意識が非常に高いと言われています。自分のアイデンティティを所属する組織に求め、所属する組織における濃密な活動を通して安心感を覚える傾向があります。そのため、オフィスに出社し、同僚と同じ空間で時間を過ごすことに快適さを求めるのでしょう。この傾向は年齢層の高い人たちの間でより顕著に現れますが日本人全体が共通して持つマインドセットと言えるかもしれません。

その点で、リモートワークは帰属組織における活動の濃密さが薄く、心地よくないと感じる人が多いのかもしれません。しかし近年では、会社を自らのアイデンティティと捉えないドライな働き方を好む欧米風な若者も多く散見され、多様性に富んだ労働市場になりつつあります。 多種多様な価値観が混在する企業組織内では企業の目標達成のためのコミュニケーションが必要とされます。それは情報や意思の伝達そして共有であり、業務が戦略的にそして円滑に遂行されることを確証することです。自社のコミュニケーション特性を俯瞰し、改善箇所の特定と必要な施策の打ち出しをスピーディーにおこなうべきでしょう。

(I.I)

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