「Uber運転手は労働者として最低賃金受給の資格がある」と最高裁判所の判決が下る ~Voice!for HRM Vol.35 ~

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英国でもっとも有名な HRM サイトから興味深い記事をご紹介します。

2021年2月 19日 By Francis Churchill

https://www.peoplemanagement.co.uk/news/articles/uber-drivers-are-workers-entitled-minimum-wage-supreme-court-rules

2016年以来、Uberと登録運転手との間で「雇用問題」をめぐる訴訟がアメリカやイギリスを中心に繰り広げられてきた。英国では最高裁判所の決断が下り、この一連の騒動に終止符が打たれた。

英国最高裁判所判事は「賃金及び労働条件等に関して発言あるいは決定権のない個人を守るために現在の労働法が存在する」とした上で、Uber運転手は「労働者」であり、最低賃金や病欠手当などを含む雇用権を享受する権利があるという。Uber社はこれまであくまでも、運賃支払い及び予約を管轄するプラットフォーマーであり、運転手は個人事業主であるとの立場を取ってきた。 しかし、そうした内容に関する書面契約の締結に関わらず、運転手は、Uberのために、そしてUberの下で働いているため雇用法が適用されるとの判決が下り、5年間に及ぶ戦いに終止符が打たれることとなった。

UberはPeer to Peerや単発副業などギグエコノミ-という働き方を世界中に広めるとともに、「雇用」の在り方やフリーランスと雇用の間の曖昧さを露呈させる契機を作ったといえる。日本においても大手の企業が次々と副業を認可し、今後の雇用の在り方に頭を悩ませる経営者や業務委託を活用したプロジェクトに乗り出す企業、そして単発で行える仕事を模索する労働者も多いではないだろうか。

同記事によれば、個人事業主は「フレキシビリティ」そして「起業家としての自由」を享受していなければならないという。つまり社会通念上認められるそして法的な範疇の中で誰にも縛られることなくフリーランサーとして業務の内容や量そしてペースをセルフコントロールできる状態を指す。

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今後、日本でも業務委託を活用した働き方が定着するとの見通しであるが、雇用に関する法整備が必要されると共に企業側も雇用と業務委託の明確な線引きを行う必要がありそうである。こうした雇用のパラダイムシフト下では、少数精鋭なロイヤリティーの高い従業員を増やすことが重要である。ロイヤリティーの高い従業員を構築するには、「雇用の安全性」、「選択的採用」、「エンパワーメント」、「公平なパフォーマンス型報酬制度」、「関連するスキル向上の支援」、「平等主義的な人事制度の構築」、そして「全社的な情報共有」を行うことが不可欠である (Pfeffer, 1998 )。しかしながら、自社の人事機能や特性を俯瞰することは難しく、このような調査を行える企業は日本では無いのが現状である。

弊社では、イギリスを中心に世界5か国でグローバル企業の人事施策支援を行ってきたHRコンサルタントが貴社のHR・人事上の特性や課題の洗い出し、そしてその原因精査と解決までのご支援をさせて頂いております。ヒアリング等は無料で行っておりますのでご興味のある方はぜひお問合せフォームよりご連絡いただければ幸いです。

(D.S)