在宅勤務労働者の給与カットは可能か?~Voice!for HRM Vol.63 ~

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(出典: https://www.peoplemanagement.co.uk/news/articles/can-businesses-cut-remote-workers-pay)

2021年8月12日 By Caitlin Powell

アメリカのGoogle社が在宅勤務者の賃金を一部カットする可能性について示唆し話題となりました。Facebook社そしてTwitter社が物価の安いエリアに移動した労働者の賃金カットを検討している一方で、Google社は「勤務地計算ツール」を導入し、在宅勤務者の住む場所と賃金への影響度合いを確認できるようにしました (ロイター通信)。ある匿名の書き込みによれば、シアトルオフィス近郊の自宅からリモートワークを行う従業員は10%程度の賃金カットを受けるそうです。

とあるイギリスの閣僚が職場復帰しない英国公務員の給与カットを提言したことをデイリーメール新聞社が報じ、Google社の決断はこの一連の議論を発展させる契機となりました。大臣は「在宅勤務者は通勤費がかからないため、事実上の給与増加である」とデイリーメール社に語りました。しかし広報担当者によれば、いまところ公務員への明確な給与カットのプランはなく、企業サイドはこれを真に受けこのような施策を容易に検討しないように勧告していることがわかりました。

この議論は日本の労働市場にとっても大きな意味を成します。GAFAによる賃金カット施策が大きな話題となったこともあり、多くの企業経営者も人件費削減を行う格好の機会と捉え始めるようになりました。また、近年では郊外や地方への住居移転を検討する労働者も増え、働き方が定まらないこの状況を更に複雑化させてきました。

欧米の企業の多くは、交通費を負担しない傾向があるため、在宅勤務を行う労働者への一部賃金カットはある種理にかなっています。しかし、日本の企業の大半は正社員への交通費支給をほぼ例外なく行っているため、在宅勤務を続行する場合、賃金カットへの反発は大きいのではないでしょうか。

リモートワークは単なる感染症対策だけではなく、ウェルビーングやワークライフバランスの観点でも数多くのメリットがあります。また、今後は避けて通れない、ペーパーレス化・DX化の観点でもリモートワークの環境整備は非常に有意義です。現在の感染者数増大は全世界が同じように直面する危機ではありますが、組織の刷新・デジタル化を行うには格好の機会と言えます。

経営者の間でも

「できないと思っていたが意外にもスムーズにできた」

「優秀人材採用獲得のチャンスが広がった」

「従業員の満足度が上がった」

などの声も上がっており、この機会に在宅勤務の導入・拡大をされてはいかがでしょうか?

(D.S)