今になってみると恋しい「ノーマル」オフィス生活–企業経営者が気を付けるべきテレワークのポイント– ~Voice!for HRM Vol.66~

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I’ll tell you something: Everything we miss about ‘normal’ office life really matters (peoplemanagement.co.uk)

「職場での井戸端会議や同僚との噂話を懐かしいと感じるには理由がある」とロンドン大学メアリー校組織心理学教授のRob Briner氏は述べる。

未来の働き方あるいはその一つの変化はもうすぐそこに見えている。従来の職場を捨て去る時期が来たと言える。オフィス勤務そして9-5勤務にさよならを言う時がきた。いつどこででも自分たちの好きなように働ける時代の到来である。

多くの専門家らがバーチャルそしてハイブリッドの働き方の利点について言及してきた。しかし、こういった働き方に否定的な側面も散見される。

頻繁に議論される負の側面として、イノベーション、クリエイティビティそしてナレッジの共有への影響が挙げられる。確かに、組織内での井戸端会議の役割は多くの場合、過大評価されているものの、物理的な人との交流はバーチャルでは起こりにくい生の体験を助長するかもしれない。

テレワークが最も盛り上がりを見せた頃、私は方々で人びとにオフィス勤務に関して懐かしいと思うことについて尋ねた。さほどびっくりする結果ではなかったが、人々が恋しいと感じることの大半が「自発性」であった。我々は、瞬間的な体験つまり計画・スケジュールされていないような体験を奪われていると感じているのである。

例えば、zoomミーティングでは「ユーモアさ」を見出すことはあまりない。また多くの人が予想している通り、懐かしいと感じる体験リストの上位には気楽に物事を進めることが挙げられている。楽しむこと、ふざけることなどが度々言及されている。

笑ったり、ふざけ合うことをバーチャル上で行うのは非常に難しい。これはある種、スクリーン上で交流を行う際に、相手の心情を読むことが難しく、上手く反応できないために多くの情報を失っているからであると言える。また、バーチャルコミュニケーションはより多くのターンテイキング (会話の順序交代)を要し、相手の話の途中で気の利いた発言を行うのも難しく、堅苦しいと多くの人が感じるためでもある。その他には、どうでもよいことに時間を使うべきではなく本題に集中してなければならないと感じる人が多いためであるとも言える。

また、愚痴や噂話といったカジュアルな交流なども失われている。こういったものも非常に自発的である。愚痴や噂話を行うためのセッションを行うことは可能であるもののやはり質的に異なる。

なぜ我々はこういったことを懐かしいと感じるのだろうか。シンプルに言えば、これらは普段我々が抱く疑問に答えてくれる素晴らしい方法だからである。「自分と同じように同僚たちも面倒くさいと思っているのか?」「新しいルールはひどいものか理にかなっているか?」「○○さんは最近どうか?」など。こういった疑問への答えがなければ、簡単に我々は職場や同僚たちと隔絶されていると感じるようになる。

また、「オンライン上でコリドーコンバゼーション (廊下での会話)はどのように行うのか?」答えはノーである。噂話や愚痴には目的があるものの、コリドーコンバゼーションは突発的に起こるものである。コリドーコンバゼーションは別の失われた側面につながる。マネジメントによる「目的の無い視察」である。物理的に職場内を歩き回ると、そうでなければ起きない物事が起こるものである。

そして最後に、信じる人は少ないだろうが通勤を懐かしいと思う人がいるということである。しかし、考えてみれば理にかなっている。行きを考え・計画の時間に費やし、帰りの時間をリラックスに使うのである。

テレワークへの変化として生産性が強調される傾向にあるが、職場を廃止する前に、職場勤務のどのような部分が失われるのか、そしてなぜそれらが重要なのかをじっくり考える必要がある。結局のところ、仕事とは単に業務を行うことだけではないのである。

 

(D.S)