2022/4から中小企業も義務化!パワハラ対策①パワハラの定義 ~30人の会社のテレワーク Vol.68~

パワーハラスメント防止対策等ハラスメント対策の強化を盛り込んだ「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律」が2020年6月に施行されました。2022年4月より、中小企業でもパワハラ対策が義務化されます。

今回は、職場でのパワハラとテレワークにおけるパワハラについて、考えてみたいと思います。

「パワハラ」とは・・?

「パワハラ」とは、「パワーハラスメント」の略です。

下記の3つの条件を全て満たす場合「職場のパワーハラスメント」とみなされます。
①優越的な関係を背景とした言動
 例)
 ・上司から部下への言動
 ・業務的な知識や経験が豊富な人からそうではない人への言動
 ・集団による言動
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
 例)
 ・業務上必要のない言動
 ・業務の目的を逸脱する言動
 ・業務遂行の手段として不適切な言動
 ・その他社会通念上、許容される範囲を超える言動(回数が多すぎる、行為者の人数が多すぎるなど)
③労働者の就業環境が害されるもの
 当該言動により、相手が身体的・精神的な苦痛を強いられ、業務遂行に影響を来たすもの

「パワハラ」の類型

パワハラの類型として、下記の6パターンが紹介されています。限定列挙ではありません。個別の事案の状況等によって、判断が異なることに注意しましょう。

類型パワハラにあたる例
(1)身体的な攻撃
(暴行・障害)
①殴打・足蹴りを行う
②相手に物を投げつける
(2)精神的な攻撃
(脅迫・名誉棄損・
侮辱・ひどい暴言)
①人格を否定するような言動を行う。
 相手の性的思考・性自認に関する侮辱的な言動を含む
②業務の遂行に関する必要以上に長時間にわたる厳しい叱責を
 繰り返し行う
③他の労働者の面前における大声えの威圧的な叱責を
 繰り返し行う
④相手の能力を否定し、罵倒するような内容の電子メール等を
 当該相手を含む複数の労働者宛てに送信する
(3)人間関係からの切り離し
(隔離・仲間外し・無視)
①自身の意に沿わない労働者に対して、
 仕事を外し、長期間にわたり、別室に隔離したり、
 自宅研修させたりする
②一人の労働者に対して同僚が集団で無視をし、
 職場で孤立させる
(4)過大な要求
(業務上明らかに不要な
ことや遂行不可能なことの
強制・仕事の妨害)
①長期間にわたる、肉体的苦痛を伴う過酷な環境下での
 勤務に直接関係のない作業を命ずる
②新卒採用者に対して、必要な教育を行わないまま
 到底対応できないレベルの業績目標を課し、
 達成できなかったことに対し厳しく叱責する
③労働者に業務とは関係のない私的な雑用の処理を
 強制的に行わせる
(5)過小な要求
(業務上の合理性なく
能力や経験とかけ離れた
程度の低い仕事を命じる
ことや仕事を与えないこと)
①管理職である労働者を退職させるため、
 誰でも遂行可能な業務を行わせる
②気に入らない労働者に対して
 嫌がらせのために仕事を与えない
(6)個の侵害
(私的なことに
過度に立ち入ること)
①労働者を職場外でも継続的に監視したり、
 私物の写真撮影をしたりする
②労働者の性的思考・性自認や病歴、不妊治療等の
 機微な個人情報について、当該労働者の了解を得ずに
 他の労働者に暴露する
厚生労働省 職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました! より抜粋
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/pdf/pawahara_gimu.pdf

テレワーク下でのパワハラの例

テレワークの浸透に伴い、「リモートハラスメント」の略である「リモハラ」という言葉をよく聞くようになりました。前段でご紹介したパワハラの類型に沿って、考えられる行為を赤字で追記します。

類型パワハラにあたる例
(1)身体的な攻撃
(暴行・障害)
①殴打・足蹴りを行う
②相手に物を投げつける
→テレワーク下ではお互いが離れているため、
物理的な攻撃は起こりにくいでしょう。
(2)精神的な攻撃
(脅迫・名誉棄損・
侮辱・ひどい暴言)
全て、テレワーク下でも十分に起こり得ます。
①人格を否定するような言動を行う。
 相手の性的思考・性自認に関する侮辱的な言動を含む
②業務の遂行に関する必要以上に長時間にわたる厳しい叱責を
 繰り返し行う
③他の労働者の面前における大声えの威圧的な叱責を
 繰り返し行う
→テレワークではオンライン会議中に他の労働者の面前で
 叱責することなどが考えられます。

④相手の能力を否定し、罵倒するような内容の電子メール等を
 当該相手を含む複数の労働者宛てに送信する
(3)人間関係からの切り離し
(隔離・仲間外し・無視)
全て、テレワーク下でも十分に起こり得ます。
①自身の意に沿わない労働者に対して、
 仕事を外し、長期間にわたり、別室に隔離したり、
 自宅研修させたりする
②一人の労働者に対して同僚が集団で無視をし、
 職場で孤立させる

業務上必要であるにも関わらず、
・オンライン会議に呼ばない
・チャットグループに招待しない
なども該当します。
(4)過大な要求
(業務上明らかに不要な
ことや遂行不可能なことの
強制・仕事の妨害)
全て、テレワーク下でも十分に起こり得ます。
①長期間にわたる、肉体的苦痛を伴う過酷な環境下での
 勤務に直接関係のない作業を命ずる
②新卒採用者に対して、必要な教育を行わないまま
 到底対応できないレベルの業績目標を課し、
 達成できなかったことに対し厳しく叱責する
③労働者に業務とは関係のない私的な雑用の処理を
 強制的に行わせる
(5)過小な要求
(業務上の合理性なく
能力や経験とかけ離れた
程度の低い仕事を命じる
ことや仕事を与えないこと)
全て、テレワーク下でも十分に起こり得ます。
①管理職である労働者を退職させるため、
 誰でも遂行可能な業務を行わせる
②気に入らない労働者に対して
 嫌がらせのために仕事を与えない
(6)個の侵害
(私的なことに
過度に立ち入ること)
全て、テレワーク下でも十分に起こり得ます。
①労働者を職場外でも継続的に監視したり、
 私物の写真撮影をしたりする
 →オンライン会議中に
   ・部屋の中や私物を写すように求める
   ・生活音や子供の声について過度に咎める
  等も該当します。

②労働者の性的思考・性自認や病歴、不妊治療等の
 機微な個人情報について、当該労働者の了解を得ずに
 他の労働者に暴露する
厚生労働省 職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました! より抜粋・追記
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/pdf/pawahara_gimu.pdf

次回は、パワハラ対策のために企業が実施しなければならないことについて、書いてみようと思います。

また、テレワークに役立つ動画まとめページを開設しました。
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ぜひご覧ください。